今日のキーワード「go the distance」(最後まで戦い抜く) - 「デ杯改革案の投票日迫る」 | テニス | デビスカップ

こんにちは。
テニス英語ニュース「Around the Court」です。


男子テニスの国別対抗戦としてITFが主催しているデビスカップ。
100年以上の歴史を持つ同大会ですが、過酷なATPツアーを回る選手からは様々な理由で不評を買っています。
(「編集後記」で後述)


また国別の世界一を決める大会として「テニス・ワールドカップ」の開催を進める動きもあり、デビスカップの存在意義が薄れ始めています。

そのような状況を打破するために、ITFがデビスカップの大会方式の修正案を打ち出しました。

今日はそのニュースを取り上げます。

デビスカップ2014でスイス初優勝 (画像:The Independent)

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1.今日のキーワード
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【go the distance    最後まで戦い抜く】

今日のキーワードは「go the distance」です。
名詞「distance」は「遠方」、「遠く離れた距離」の意味です。
動詞「go」は他動詞として使われ、「...に耐える」という意味で使われています。
ですので「go the distance」を直訳すると、「遠く離れた距離に耐える」、
その結果「遠方の目的地にたどり着く」になります。

それが転じて「最後までやり抜く」、「最後まで戦い抜く」という意味になります。
他動詞「go」を使う表現には「go a long way」(「長い道に耐える」⇒「成功する」)などもあります。
各ラウンドで5セットマッチを5試合戦うことを「go the Davis Cup distance」と表現しています。

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2.ボキャブラリー
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・Davis Cup : 男子テニスの国別対抗戦。シングルス4試合、ダブルス1試合を5セットマッチで行い、先に3勝した国が勝利。
・Fed Cup : 女子テニスの国別対抗戦。シングルス4試合、ダブルス1試合を3セットマッチで行い、先に3勝した国が勝利。
・International Tennis Federation : ITF。国際テニス連盟。デビスカップ、フェドカップのほかに、グランドスラム4大会を主催している。(グランドスラムの直接の運営は各国連盟が担当)
・AGM : annual general meeting。年次総会のこと。
・best-of-three tiebreak sets : 3セットマッチで最終セットにもタイブレークを実施する試合方式。「best-of-three sets」の場合、第1、2セットではタイブレークを実施するが、最終セットではタイブレークを実施せず、2ゲーム差が付くまで試合を行う。
・best-of-five sets : 5セットマッチ。第1-4セットまではタイブレークを実施するが、最終セットではタイブレークを実施しない。
・dead rubber : デッドラバー。どちらかの国が3勝し、勝負が決した後に行われる消化試合のこと。
・match tiebreak : セットカウント1-1で並んだとき、第3セットを行う代わりにタイブレークで試合の勝敗を決すること。通常のタイブレークは7ポイント先取だが、ATPツアーのダブルスの試合ではスーパータイブレークと呼ばれる10ポイント先取形式が取られている。

上記フレーズに関する知識があると、原文をより深く理解できます。

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3.原文
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【Davis Cup, Fed Cup Reforms Nearing Vote】

Going the Davis Cup distance will soon be a less demanding experience.

Davis Cup matches will be reduced to best-of-three sets from the current best-of-five set format if reforms the International Tennis Federation board of directors finalized today are approved in an August 4th vote.

The reforms are part of a planned wide-ranging restructuring for Davis Cup and Fed Cup formats.

If the revisions are approved by ITF member nations at the 2017 ITF AGM in Ho Chi Minh City, Vietnam on August 4th, then the rule changes would go into effect in 2018.

The reforms include:

- All singles matches in Davis Cup will be played as best-of-three tiebreak sets, rather than best-of-five sets. Davis Cup will retain its three-day format, with doubles still played on the Saturday over the best-of-five sets.

- The finalists in both Davis Cup and Fed Cup will be guaranteed the choice of hosting their first-round tie in the following year.

- The Davis Cup dead rubber policy will be amended to reduce the number of dead rubbers. If the fourth match is decisive, and lasts three sets or at least 90 minutes, the fifth match will not be played. A match tiebreak will replace the third set in all Davis Cup dead rubbers.

- Hosting costs for national associations will be reduced. This includes the reduction of match court availability by one day.

- Player on-site commitments will be reduced.

Belgium will host Australia on a red clay court in Brussels in the September 15-17th Davis Cup semifinals.

The winner of that tie will face the winner of the Serbia at France semifinal in the November 24-26th Davis Cup final.



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4.日本語訳
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【デビスカップ・フェドカップ改革案の投票日迫る】

デビスカップを最後まで戦い抜く負担が、近い将来軽減される。

ITF理事会は今日、改革案を最終決定した。それが8月4日に承認されれば、デビスカップは現在の5セットマッチから3セットマッチになる。

この改革案は、デビスカップおよびフェドカップに関する広範囲な改善計画の一部である。

8月4日、ベトナム・ホーチミンで2017年ITF年次総会が開催される。そこでITF加盟国が改革案を承認すれば、変更後のルールは2018年から有効になる。

改革案には以下の内容が含まれる。

- シングルスの試合はすべて、現行の5セットマッチから3セットマッチ(最終セットもタイブレーク実施)になる。デビスカップは現行の3日間開催方式を継続する。またダブルスは、現行通り2日目に5セットマッチで実施する。

- デビスカップおよびフェドカップの決勝進出国は、翌年1回戦のホスト権が保証される。

- デビスカップのデッドラバー規則は、デッドラバーの数を削減する方向で修正する。4試合目で勝敗が決し、かつ4試合目がフルセットまたは90分以上の場合には、5試合目は実施しない。デッドラバーでは、第3セットの代わりにマッチ・タイブレークを実施する。

- ホスト国テニス連盟の費用は削減される見込みである。1日のコート使用時間が削減されることがその一因である。

- 選手の拘束時間も削減される見込みである。

9月15-17日のデビスカップ準決勝、ベルギーはオーストラリアとブリュッセルのクレーコートで対戦する。

11月24-26日のデビスカップ決勝、その試合の勝者とセルビア対フランスの勝者が対戦する。


(Translated by tennisshiro)

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5.関連動画
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Highlights: Richard Gasquet (FRA) v Roger Federer (SUI)



(動画:Davis Cup by BNP Paribas)

2014年デビスカップ決勝、フランスvsスイス。ラバー4:ガスケvsフェデラー。
スイスが2勝1敗でリードし、スイス初優勝まであと1勝で迎えたエース対決。
ガスケ選手はフェデラー選手のバックを徹底的に攻め、フェデラー選手もそれに応戦。
2人のシングル・バックハンドから繰り出されるクロスラリーは見応え十分です。
勝敗を分けたのは、やはりフェデラー選手の攻撃の多彩さ。
フォアハンドへの回り込みやネットプレーでガスケ選手を押し込みます。

最後はネット際に柔らかく落とすバックハンドのドロップボレーで決着。
フェデラー選手の高い集中力と勝負強さがわかる大一番での勝利でした。

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6.その他のニュース
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7.編集後記
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今日はデビスカップの改革案に関する話題を取り上げました。参加選手の負担を軽減するためにも、ぜひ改革案を通してもらいたいです。

前書きでも触れましたが、デビスカップに対しては選手から不評が出ています。

まず開催時期がよくありません。決勝まで進んだ場合4ラウンド戦いますが、その開催時期は次の通りです。2月(全豪オープン後)、4月(北米ハード→欧州クレーへの切り替え時期)、9月(全米オープン後)、11月(ツアー終了後)。ツアーを回っている選手からすると、休養や調整にあてたい時期と丁度重なっています。

また大会形式がかなり負荷の高いものになっています。デビスカップは本文でも述べた通り、各ラウンドで5セットマッチを5試合、3日間に分けて戦います。1人の選手が全試合に出るわけではありませんが、各国エース級の選手になると、シングルス2試合、ダブルス1試合の3試合を3日連続で戦うこともあります。

さらに先に3勝した国が勝ち抜けにもかかわらず、勝負がついた後の消化試合・デッドラバーもすべてやり切ります。現行でもデッドラバーは3セットマッチになりますが、デッドラバーではランキングポイントが付かないので、選手はモチベーションを上げるのが難しい状況です。

このような事情もあり、トップ選手はデビスカップ参加を回避する傾向が強くなっています。現在、BIG4でコンスタントに参加しているのはマレー選手くらいです。トップクラスの選手が参加しない大会で世界一を決めても、その意義は薄いと考えられています。

今回の改革案では、3セットマッチになることやデッドラバーを減らす方向で動いています。参加選手の負担は間違いなく軽くなりそうです。

ただ、これでトップ選手の参加が増えるかどうかは疑問です。参加した場合の負担は軽くなりますが、それでも参加しないという選択肢は消えません。

この選択肢を取る可能性を小さくするためには、デビスカップで勝つことのメリットを増やすしかありません。一番簡単な方法としては、賞金を増やすとか、ランキングポイントを増やす方法があるでしょう。

最も有効な方法は、選手が獲りたいタイトルにすることです。でもこればかりは小手先の改革だけでは、如何ともしがたいものがあります。100年以上の歴史がありながら、どうしても参加したい、何度でも優勝したいと思う選手が多くないのが現状です。

テニスが個人競技であるという性質上、なかなか難しい問題だと思います。ですが、ITFが100年の扉を開けるために重い腰を上げたことは評価すべきだと思います。



(了)


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