今日のキーワード「wouldn't put it past someone」(...ならやりかねない) - 「キリオス、ウィンブルドンには間に合う」 | テニス |エイゴン選手権

こんにちは。tennisshiroです。

エイゴン選手権1回戦、キリオス選手が左臀部負傷のため途中棄権しました。
芝に足を滑らせ、転倒したときに負傷したようです。


今年は体調不良、ケガなどで棄権・欠場を繰り返しています。
本人はウィンブルドンに出ると言っていますが、大丈夫でしょうか。


今日はそのニュースを取り上げます。

ニック・キリオス (画像:The Telegraph)

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1.今日のキーワード
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【wouldn't put it past someone    ...ならやりかねない】

今日のキーワードは「wouldn't put it past someone」です。

元々の形は「wouldn't put it past someone to do」や「wouldn't put it past someone doing」です。

「put」は「みなす」、「past」は「...の能力を超えて」の意味を持っています。
「it」は「to do」または「doing」以下を指す形式目的語です。


ですので「put it past someone」は「...の能力を超えていると思う」つまり「...はできないと思う」という意味になります。

否定形「wouldn't」が前に置かれているので、「wouldn't put it past someone」は「...ならできないとは思わない」
つまり「...ならする可能性がある」という意味になります。


これが転じて「wouldn't put it past someone」は「...ならやりかねない」という意味になります。
例えば「I wouldn't put it past him」(彼ならやりかねない(と私は思う))のように使われます。

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2.ボキャブラリー
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・Nick Kyrgios : ニック・キリオス。オーストラリア国籍。22歳。右利き、両手バックハンド。ツアー優勝3回。現在20位 (最高13位)。
・Wimbledon : ウィンブルドン。テニス4大大会であるグランドスラムの一つ。グラスコート。開催地はイギリス・マートン・ロンドン特別区ウィンブルドン。
・Queen's : クイーンズ・クラブ。エイゴン選手権の会場。2009年エイゴンが冠スポンサーになるまで、クインーズ・クラブ選手権と呼ばれていた。
・Donald Young : ドナルド・ヤング。アメリカ国籍。27歳。左利き、両手バックハンド。ツアー優勝なし。現在55位 (最高38位)。
・true to form : いつもの通り、例のごとく。
・smirk : にやにや笑う。
・Dog & Fox : ウィンブルドンの会場近くにあるパブ。
・notoriety : 悪名、悪評。
・too-cool-for-school : 世間を見下した、人を見下した。「学校になんて行ってられない」が元の意味。
・antic : ふざけた態度、滑稽な行動。
・make good on : 約束を守る、公約を果たす。
・tanking : 逃げ出すこと、棄権。
・laconic : 簡潔な、むだ口をきかない。
・courtesy of ... : ...の厚意により、...のおかげで。
・formidable : 手ごわい、侮れない。
・inauspiciously : 不吉な形で、不運な形で。
・writhe : もがき苦しむ、のたうち回る。

上記フレーズに関する知識があると、原文をより深く理解できます。

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3.原文
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【Nick Kyrgios confident he'll be fit for Wimbledon despite retiring hurt from Queen's】

Nick Kyrgios claimed on Monday night that he was confident of being fit for Wimbledon, despite hurting his hip in a heavy tumble that ended his involvement at Queen’s after just one set against American Donald Young. True to form, when asked how he planned to kill the intervening time in London, he replied, smirking, “Dog & Fox”, a reference to his favourite pub in Wimbledon Village.

One would not put it past Kyrgios, who owes his notoriety to these too-cool-for-school antics, making good on that intention. After all, the 22-year-old, who has acknowledged tanking in almost half his tournaments, responded recently to John McEnroe’s offer of coaching by saying: “He’s dreaming.”

The laconic Kyrgios gives every impression that he would rather watch video games or play basketball than be found anywhere near a tennis court, but he remains – courtesy of outrageous natural talent and a serve that is almost unanswerable on grass – a formidable outside threat at Wimbledon this year.

Ranked 20th in the world, he finds that his explosive game is best suited to the lawns of the All England Club, where he reached the quarter-finals in 2014 with a win over two-time champion Rafael Nadal. At 22, the time is ripe for him to begin fulfilling his vast potential, but his grasscourt campaign started inauspiciously yesterday when a fall at 4-4 in the first left him writhing in agony. One uncomfortable tie-break later, which he lost 7-3, and he decided that he had seen enough.

“On that fall I just felt sharp pain,” he said. “Then, I started feeling it when I was walking, when I was landing on my serve. It’s tough to play through. But there are worse things in the world than a guy slipping playing tennis. I’m sure I’ll live. I’d play Wimbledon if I was injured pretty badly anyway.”



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4.日本語訳
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【キリオス、ウィンブルドンまで回復に自信】

月曜日の夜、ニック・キリオスはウィンブルドンまでにケガが良くなることに自信を示した。ドナルド・ヤングとの試合中、激しく転倒し、臀部を負傷した。1セット戦っただけで、エイゴン選手権を去ることになった。ウィンブルドン開幕までの空いた時間の過ごし方について質問されると、いつも通りニヤニヤ笑い、ウィンブルドンにあるお気に入りのパブの名前を出して「ドッグ・アンド・フォックスに行く」と答えた。

キリオスならその言葉通りの行動を取りかねないだろう。彼は世間を見下した態度で悪名高い。彼は出場した大会の半分近くで棄権しているのを、自分でも認識している。彼のコーチをしたいというジョン・マッケンローの発言について、「彼は夢を見ているのだろう」と答えている。

言葉が足りないキリオスは、テニスコートで練習するよりも、TVゲームやバスケットボールで遊んでいる印象を周囲に与えている。それでも、生まれ持った才能とグラスコートでは返球が困難なサーブのおかげで、 彼は今年のウィンブルドンでも手強いダークホースになっている。

現在、彼は世界ランク20位まで登り詰めている。自分の爆発的なプレーが、ウィンブルドンの芝に合うこともわかっている。2014年ウィンブルドンでは、2回優勝経験があるナダルを下して、準々決勝に進出した。22歳になり、機は熟している。そろそろ潜在能力を発揮し始めてもよい頃だ。しかし、グラスコート・シーズンは不運な形で始まった。第1セット、ゲームカウント4-4のとき転倒し、痛みでもがき苦しんだ。痛みに耐えながら、タイブレークを7-3で失った後、彼は棄権を決断した。

「転倒したとき、鋭い痛みを感じた。その後、歩いているとき、サーブで着地したときに痛みを感じた。試合を続けるのは厳しかった。でも、テニスの試合中に転倒するより辛いことが、この世には存在する。自分が生きていることは間違いない。ケガが悪くなったとしても、ウィンブルドンでプレーする」と彼は語った。


(Translated by tennisshiro)

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5.関連動画
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Federer v Kyrgios: The best shots | Miami Open 2017



(動画:Tennis TV)

キリオス選手の今年のベストマッチ、マイアミ・オープン準決勝のフェデラー選手との試合です。
以前ご紹介したことがある股抜きショット以外にも、スーパーショット満載です。

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6.その他のニュース
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7.編集後記
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キリオス選手に才能があることは疑いようがありません。恵まれた体から放たれるサーブは強烈ですし、フットワークが軽くコートカバリング能力も高いですし、ラケットワークも非常に柔らかいです。

実際、今年のベストリザルトであるマイアミでは、準決勝でフェデラー選手相手に全セットタイブレーク決着の僅差の試合をしています。(6-7、7-6、6-7で敗北)今年の序盤好調だったフェデラー選手を最も追い詰めた試合の一つと言ってもよいでしょう。

あとはメンタル面でどこまで大人になれるかにかかっていると思います。

今回の棄権はアクシデントなので仕方ないですが、メンタルさえ充実すれば棄権や欠場の回数も減るはずですし、成績も安定するはずです。友達のズベレフ選手に先を越されたトップ10入りも難しくないはずです。

それでもキリオス選手からしたら、BIG4と接戦を演じるよりも、毎日練習コートに行く方が難しいんでしょうね。だからズベレフ選手の規律正しさに嫉妬するんでしょうね。

まあ、このだらしない感じが、彼の最大の魅力でもあるんですけどね。それでもやっぱり頑張って、もっと上を目指して欲しいです。



(了)


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