今日のキーワード「toss-up」(五分五分) - 「ロシアの若手が躍動」 | テニス | ゲリー・ウェバー・オープン / エイゴン選手権

こんにちは。tennisshiroです。

ハレ、クイーンズともにベスト8が出揃いました。
クイーンズでは2日目にシード3が総崩れで大荒れでしたが、ベスト8が出揃ってみると「らしい」選手が勝ち上がっています。
マイヤー選手、クエリー選手、ミュラー選手、F.ロペス選手など、ビッグサーバー系の選手が残っています。


それ以外で特徴的なのが、ロシアのネクスト・ジェン・プレーヤーが3人も残っていることです。
この3人はロシアのテニス界だけでなく、ATPツアーを引っ張っていく可能性もある実力派の選手たちです。


今日はこの3人に関するニュースを取り上げます。

カレン・カチャノフ、ダニール・メドベデフ (画像:ATP Tour, Inc.)
(註)左2番目:メドベデフ選手,3番目:カチャノフ選手

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1.今日のキーワード
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【toss-up    五分五分】

今日のキーワードは「toss-up」です。
「toss-up」は「上に投げ上げる」こと、ここでは「コイントス」のことを指しています。
コイントスでは、コインを投げ上げ、着地した後のコインの表裏を予想して勝敗を決めます。
コインの表裏が出る確率はそれぞれ50%です。

ですので「toss-up」は、「五分五分」とか「50/50」という意味になります。

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2.ボキャブラリー
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・Halle : ハレ。ゲリー・ウェバー・オープンの開催地。ATP500シリーズの大会。グラスコート。
・Karen Khachanov : カレン・カチャノフ。ロシア国籍。21歳。右利き、両手バックハンド。ツアー優勝1回。現在38位 (最高38位)。
・Andrey Rublev : アンドレイ・ルブレフ。ロシア国籍。19歳。右利き、両手バックハンド。ツアー優勝なし。現在106位 (最高106位)。
・upside : コインの表面。勝利を意味する。
・imposing : 堂々とした。
・flair : 才能、嗅覚、勘。
・proclivity : 気質、性質。
・chop : 品質、等級。
・Chengdu : 成都。成都オープンの開催地。ATP250シリーズの大会。ハードコート。
・harness : 利用する、活用する。
・bode : 前兆となる。
・rigor : 厳しさ、厳格さ。
・electric : わくわくするような、衝撃的な。
・moxie : 不屈の精神、ガッツ。
・Mikhail Youzhny : ミカエル・ユーズニー。ロシア国籍。34歳。右利き、片手バックハンド。ツアー優勝10回。現在88位 (最高8位)。
・Daniil Medvedev : ダニール・メドベデフ。ロシア国籍。21歳。右利き、両手バックハンド。ツアー優勝なし。現在60位 (最高57位)。
・Chennai : チェンナイ。チェンナイ・オープンの開催地。ATP250シリーズの大会。ハードコート。
・Montpellier : モンペリエ。南フランス・オープンの開催地。ATP250シリーズの大会。室内ハードコート。
・Marseille : マルセイユ。オープン13の開催地。ATP250シリーズの大会。室内ハードコート。
・Nicolas Mahut : ニコラ・マウー。フランス国籍。35歳。右利き、片手バックハンド。ツアー優勝4回。現在77位 (最高37位)。
・Thanasi Kokkinakis : タナシ・コキナキス。オーストラリア国籍。21歳。右利き、両手バックハンド。ツアー優勝なし。現在698位 (最高69位)。
・Grigor Dimitrov : グリゴール・ディミトロフ。ブルガリア国籍。26歳。右利き、片手バックハンド。ツアー優勝6回。現在11位 (最高8位)。
・rangy : 手足のひょろ長い、すらりとした。

上記フレーズに関する知識があると、原文をより深く理解できます。

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3.原文
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【ATP Russians Rising in Halle and London】

For those interested in knowing more about the next wave of men’s tennis talent from Russia, Friday provides a pair of showcase tilts that should satisfy some curiosity.

In Halle, Karen Khachanov, fresh off a round of 16 appearance at Roland Garros, will battle with his friend and compatriot Andrey Rublev in the day’s first quarterfinal. Khachanov is 18 months older than Rublev, and his ranking is much higher, but it’s a toss-up as to which player has more upside.

Both are special talents that could land in the Top 10 someday. Khachanov is tall, imposing and hard-hitting. Thus far in his career he has demonstrated a flair for the dramatic and a proclivity for riding his emotions to the next level in big matches and on big stages. He proved his chops when he won the Chengdu title last year. The way the Russian harnessed his positive energy on that run and took charge of his matches bodes well for his future. He didn’t beat a Top 20 player but powered past some very experienced ATP names such as Feliciano Lopez, Viktor Troicki and Albert Ramos.

Rublev has been on the radar of those in the know for several years but he didn’t assure himself of a Top 100 ranking until this week. To put it mildly he’s been inconsistent as he’s struggled to adjust to the rigors of the ATP level, but all the while Rublev has exhibited eye-popping explosiveness and lightning-quick racquet-head speed. Simply put, the kid is a shotmaker; the 19-year-old Muscovite is an electric personality with an electric game, and he may have a future as a prototypical baseliner in the mold of Kei Nishikori or—who knows?—Novak Djokovic.

He’s rail thin at 6’2”, 144, but the power is there, and so is the moxie.Rublev reached his first ATP quarterfinal on Thursday with a nine-ace performance against the old guard of Russian tennis, 34-year-old Mikhail Youzhny.

Was that match a symbolic, changing of the guard moment for the Russians? We should know more about that in the next 52 weeks as Rublev looks to become a fixture in the Top 100.

Tomorrow’s first-time meeting with his good friend Khachanov should be a good test of his ability to battle on the big stage. Khachanov has proved himself in that regard over the last year; what can Rublev do to measure up?

Over at Queen’s Club another Russian is rising. Daniil Medvedev is into the quarterfinals and will rise to a career-high ranking next week as a result. The 21-year-old has been dealing with an illness for the last few months, but before that he made a big splash, showing his potential by reaching the final in Chennai and following it up with back-to-back quarterfinals at Montpellier and Marseille.

Medvedev is far from a typical grass-courter, but he achieves some of his best results on the surface. He took out a very good grass player in Nicolas Mahut in his first round match and on Thursday he absolutely crushed Thanasi Kokkinakis to set up a quarterfinal with Grigor Dimitrov.

Tall, rangy and blessed with fluid mechanics on both wings, Medvedev is an interesting player. At 6’6” 176 he’s also rail thin but can cover the court surprisingly well.

It will be interesting to see what he can do against he more experienced and higher-ranked former Queen's champion Dimitrov. Like Rublev, Medvedev has never earned a Top 20 win; Meanwhile, Khachanov has four.

Khachanov, the highest-ranked Russian at this current time (Khachanov is 38, Medvedev is 60 and Rublev is 106), is most certainly ahead of his compatriots in terms of his development, but all three are rising steadily. On Friday we’ll get to take a measurement of where they all stand as Wimbledon approaches.



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4.日本語訳
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【ロシア若手がハレとクイーンズで躍動】

金曜日に行われる2試合は、ロシアの才能ある次世代の若手を知りたい人の、好奇心を満たしてくれるはずだ。

ハレの準々決勝第1試合では、全仏オープンでベスト16に入ったばかりのカレン・カチャノフが同郷の友人アンドレイ・ルブレフと対戦する。カチャノフは、ルブレフより18か月年上で、ランキングもかなり高いが、勝敗については五分五分だ。

両選手ともトップ10に入る可能性がある才能の持ち主だ。カチャノフは背が高く、堂々としていて、強打を得意にしている。自身のテニスキャリアにおいて、彼は豊かな表現力や、気持ちを高いレベルに上げる能力を、大きな試合や大会で見せてきた。去年の成都オープンで優勝し、自分のクオリティを証明した。その大会では、前向きなエネルギーを出し、試合に力を注いでいた。その姿は彼の未来を象徴している。彼はトップ20との対戦こそなかったものの、フェリシアーノ・ロペス、ビクトル・トロイツキ、アルベルト・ラモス=ビノラスなどツアー経験の長い選手を破った。

ルブレフはこの数年ずっと注目されてきた。しかし、今週時点のランキングまではトップ100に入ったことがない。平たく言えば、ツアーレベルの厳しさに立ち向かうとき、安定した実力を発揮できていない。それでもルブレフは、目に留まるような爆発力と閃光のように速いヘッドスピードを見せている。簡潔に言うと、彼はショットメーカーだ。エキサイティングなテニスをするエキサイティングな選手だ。将来、典型的なベースライナーとして、錦織圭のような選手、いやノバク・ジョコビッチのような選手になるかもしれない。

彼は身長188cm、体重65kgで体が細い。しかし、彼にはパワーとガッツがある。ロシアのテニス界を守ってきた34歳のミカエル・ユーズニーに対して9本のサービスエースを決め、ツアー初のベスト8に進出している。

あの試合はロシアの世代交代を象徴していたのだろうか?ルブレフがトップ100に入る今後1年のうちに、その答えがわかるだろう。

明日の第1試合、親友カチャノフとの初対戦は、大舞台で彼の実力を測る良いテストになるはずだ。その点、カチャノフは昨シーズンを通して自身の実力を証明してきた。ルブレフは自分の実力を示すことができるだろうか?

クイーンズ・クラブでは、もう一人のロシア人が躍動している。ダニール・メドベデフは準々決勝に進出している。その結果、来週のランキングでキャリア最高ランキングを更新する。21歳のメドベデフは、この2、3か月体調を崩していた。しかし、それまで大活躍し、自身の潜在能力を示していた。チェンナイで決勝に進出し、続くモンペリエとマルセイユで2大会連続で準々決勝に進出した。

メドベデフは、典型的なグラスコーターではない。しかし、グラスコートで自身の最高結果を出している。1回戦でグラスコートが得意な二コラ・マウーに勝ち、2回戦ではタナシ・コキナキスに完勝している。準々決勝ではグリゴール・ディミトロフと対戦する。

背が高く、手足も長く、フォア・バックともに滑らかにプレーできるメドベデフは、面白い存在だ。身長199cm、体重80kgで、やはり体が細い。しかし、驚異的なコートカバリング能力を持っている。

準々決勝で対戦するディミトロフは、経験があり、ランクも高く、この大会でも優勝したことがある。彼相手にメドベデフが何をできるかが興味深い。ルブレフ同様、メドベデフもトップ20に勝ったことがない。それに対して、カチャノフは4回勝っている。

現在のロシア最高位の選手はカチャノフである。(カチャノフ38位、メドベデフ60位、ルブレフ106位) 完成度という点では、カチャノフが同郷の仲間をリードしているのは確かだ。しかし、3人とも着実にランキングを上げている。ウィンブルドン開幕が迫る金曜日、彼ら3人の立ち位置を測ることができる。


(Translated by tennisshiro)

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5.関連動画
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Khachanov Looks Ahead To QF Match Halle 2017



(動画:ATP Tour, Inc.)

カチャノフ選手が準々決勝のルブレフ戦に向けたインタビューに答えています。
最初に棄権した錦織選手への気遣いを示した後、グラスコート大会に参加できることを喜んでいます。
ルブレフ選手とは10歳の頃から友達で、去年から同じテニスアカデミーに所属しているそうです。
コート内ではお互いに全力で戦うと気合十分ですね。

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6.その他のニュース
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7.編集後記
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この記事を読んで「ロシア、うらやましいな」ということを一番に感じました。

ATP500の大会ベスト8に勝ち残れる選手が3人いるだけでもすごいのに、3人の年齢が21歳2人と19歳1人というのがさらにすごいです。自国の選手を応援するだけで、これから10年近くテニスを楽しめます。

「片や日本は・・・」と話すつもりでしたが、数値的に見てロシアとそんなに変わりがないことがわかりました。

まず人数を比較すると、トップ100の人数は、日本4人に対してロシア5人。トップ500は16対16、トップ1000も35対35。人数的には全く差がありません。

年齢的に見ても、トップ100は日本平均25歳に対してロシア平均25.8歳。トップ500は25.4対25.1、トップ1000は24.1と25.2。平均年齢もほぼ差がありません。

クイーンズでシード3まで全員1回戦敗退という異常事態が起きて、角度のある速いサーブが有効なグラスコートだったので、日本人より身長が高いロシア人に有利に働いたんですかね。まあ杉田選手が1回戦フェデラー選手じゃなければとか、錦織選手がケガせずカチャノフ選手を叩いていればとか、西岡選手が負傷離脱していなければとか、いろいろとタラレバは尽きませんね。隣の芝生が青く見えた、と思いましょう。

20代前半の選手だと、西岡選手、ダニエル選手がいます。
トップ200には、内山選手、サンティラン選手がいます。
トップ300には19歳の高橋選手がいるじゃないですか。


彼らの躍進に期待しましょう。日本テニスの未来は明るいはず。
(数値は6月19日発表ランキングに基づく)



(了)


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