今日のキーワード「on the heels of」(すぐ後に) - 「杉田、注目度上昇中」 | テニス | W&Sオープン

こんにちは。
テニス英語ニュース「Around the Court」です。


現在開催中のシンシナティ・マスターズで、杉田選手がベスト8進出を決めました。去年もA.ズベレフ選手を初戦で倒してベスト16に進出していますが、それを超える快挙になります。

トップ10のうち7人が欠場する「異常事態」の大会ですが、そんなことは出場している選手には関係ありません。杉田選手も自分の試合に集中して、J.ソック選手やカチャノフ選手などの強敵を倒しています。

準々決勝は第7シード・世界11位のディミトロフ選手との対戦になります。直接対決は1回だけで、フルセットの接戦で敗れています。今回は勝ってさらに上に行って欲しいです。

その杉田選手をATP公式サイトが特集で取り上げています。

杉田祐一、シンシナティ (画像:ATP Tour, Inc.)

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1.今日のキーワード
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【on the heels of    すぐ後に】

今日のキーワードは「on the heels of」です。
「on the heels of...」を直訳すると「...のかかとにぴったりと接して」になります。
「背後にぴったりとくっついて」いる状態を表現しています。
ですので「on the heels of...」は、「...のすぐ後に」、「...に引き続いて」という意味になります。
直後であることを強調して「hot on the heels of」や「right on the heels of」などの形でも使われます。

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2.ボキャブラリー
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・Yuichi Sugita : 杉田祐一。日本国籍。28歳。右利き、両手バックハンド。ツアー優勝1回。現在46位 (最高43位)。
・Cincy : アメリカ・シンシナティ。ウエスタン・アンド・サザン・オープンの開催地。マスターズ1000大会の一つ。ハードコート。
・Masters 1000 : マスターズ1000。ATPワールドツアーのカテゴリー。グランドスラムに次ぐ格付けの大会。
・Antalya : アンタルヤ・オープン。ATP250シリーズの大会。グラスコート。開催地はトルコ・アンタルヤ。
・ATP Challenger : ATPチャレンジャー。ATPツアーの下部大会。ATP250グレードの下位に位置付けられる。
・Barcelona : バルセロナ。バルセロナ・オープンの開催地。ATP500シリーズの大会。クレーコート。

上記フレーズに関する知識があると、原文をより深く理解できます。

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3.原文
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【Sugita Storming Into The Spotlight In Cincy】

A maiden ATP World Tour title, first Grand Slam match win, career-high Emirates ATP Ranking and now a first Masters 1000 quarter-final. If you ask Yuichi Sugita if he's playing the best tennis of his career, the answer is a resounding 'yes'.

(中略)

On the heels of a first ATP World Tour title in Antalya and an impressive three ATP Challenger Tour crowns, in Yokohama, Shenzhen and Surbiton, the Sendai native is breaking new ground in rising to a career-high No. 43 in the Emirates ATP Rankings. It is the second-highest position of any Japanese player in history, behind only Nishikori.

(後略)



※ 全文は引用元をご参照ください。

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4.日本語訳
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【杉田、シンシナティで注目度上昇中】

ツアー初優勝、グランドスラム初勝利、世界ランク自己最高位、そして今大会はマスターズ1000で初のベスト8。杉田祐一に「キャリア最高のテニスをしているか」と質問すれば、「イエス」とはっきり答えるだろう。

「28歳、人によっては30歳を過ぎてから、良い成績を残す選手もたくさんいる。今起きていることに驚きはない。テニスの世界では、自分の最高レベルにたどり着くのに時間がかかる。挑戦して、前に進み続けるだけだ」と杉田は語った。

「僕のランキングは、日本では大きなニュースになった。でもケイほどの大ニュースではなかった。ケイはいい選手だし、日本テニス界の革命児だから。僕は自分のできることを全力でやるだけ。ケイが結果を残しているので、僕がランキングを上げるとき、とても参考になる」

杉田は、横浜、深圳、サービトンのチャレンジャー大会で優勝し、アンタルヤでツアー初優勝をした。その直後にキャリア最高の世界ランキング43位に到達し、新しい境地を切り開いた。杉田のランキングは、日本テニス史上2番目である。それを上回るのは錦織だけだ。

「今年は、日本、中国、イギリスのチャレンジャー大会で優勝した。その後は、ツアー大会で自信を持ってプレーしている。ツアー初優勝はあっという間の出来事だった。イギリスのチャレンジャー大会が終わると、アンタルヤに直行した。気持ちに大きな変化があった。トップ50に入ることに大きな壁を感じなくなった。今はとても充実している」

「アンタルヤの1週間は素晴らしかった。初めて準決勝に進出して、そのまま初優勝した。良い選手とたくさん試合ができたのは、貴重な経験になった。日本テニス史上3人目のツアー優勝だったので、日本では大きなニュースになった」

「ツアー初優勝を誇らしく思っている。僕のテニスキャリアの中でも、最も感動した瞬間だった。いろいろと思い出もある。ツアー下部大会で10年間プレーしてきた。初優勝はとてもうれしかった。日本に戻ると、多くのメディアが練習コートにやって来て、いろいろと質問を受けた。幸せだと感じている」

杉田の2017年はまだ終わっていない。彼のテニスはあらゆるサーフェスに対応できる。今年のツアー大会では、準々決勝に3回進出している。3回とも異なるサーフェスで実現している。クレーコートのバルセロナでは準々決勝まで進み、グラスコートのアンタルヤでは優勝した。それに加えて、今週はシンシナティでベスト8まで勝ち上がっている。マスターズ1000における彼の最高成績だ。

「シンシナティの試合はすべて、大きなチャンスになる。試合に勝てばランキングが上がる。勝ち残っているのは幸せだ。試合を楽しもうと思っている。素晴らしい選手とプレーできることに興奮している」

杉田が言う気持ちの変化とは何だろうか?また今年成功した秘訣は何だろうか?杉田は取り組み方を変えたことにより、全体的なバランスが良くなったと考えている。

「僕がテニスを始めたとき、小柄な選手向きの新しいプレースタイルに挑戦する必要があった。僕はビッグサーブを持っていないので、長いラリーをして、ボールに素早く反応する必要があった。僕のテニスでは今でもそれが一番重要なことだ」

「最も大きく変わったのはメンタル面だ。1試合、3セットを通して、同じレベルをキープできる。僕にとって重要な1年になっている。前向きな姿勢を心掛け、ケガにも気を付けている。今、心技体のバランスが良い。調子が良いし、前向きな気持ちになっている」


(Translated by tennisshiro)

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5.関連動画
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Japan's Yuichi Sugita reaches first ATP Masters 1000 quarter-final! | Cincinnati 2017



(動画:Tennis TV)

シンシナティ・マスターズ3回戦、杉田vsカチャノフのマッチポイント。
杉田選手のサーブリターンが素晴らしいです。
カチャノフ選手は構える時間を奪われ、3球目はただ返すだけ。
その浅いボールを杉田選手がバックのクロスに展開した時点で勝負あり。
最後のスマッシュも相手のいない方向にきちんと叩き付けています。

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6.その他のニュース
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7.編集後記
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今日は、これからシンシナティで準々決勝を戦う杉田選手を取り上げました。

この大会はトップ選手の欠場者が続出したことから、いろいろと言われてきました。私も過密日程、出場義務について、Twitter経由であれこれ言っていました・・・。

ですが実際に戦っている選手からしたら、そんなこと関係ないですね。一度出ると決めたら、目の前の試合に集中するだけです。今大会に限らないのですが、杉田選手はその集中がちゃんとできています。2、3回戦の1セットダウンからの逆転勝利は見事でした。

杉田選手は戦っている姿勢が伝わってくるタイプの選手です。会場に足を運んで試合を見ている観客からすると、全力でプレーする選手、諦めない選手は応援したくなるものです。

世界的に見たらディミトロフ選手の方が有名でしょうが、杉田選手の戦う姿勢で観客を味方に付けてもらいたいです。

去年のトロントでもフルセットの接戦ですし、今乗っている杉田選手なら勝機は十分にあると思います。地元の観客から「スギタ!」、「ユイチ!」の掛け声が出るような試合を期待しています。



(了)


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