今日のキーワード「come under fire」(非難の的になる) - 「トミック「本気を出したことがない」」 | テニス | ウィンブルドン

こんにちは。
テニス英語ニュース「Around the Court」です。


昨日、男子テニスはクロアチア・ウマグとスウェーデン・バスタードで決勝戦が行われました。

ウマグでは、19歳のルブレフ選手がラッキールーザーから勝ち上がり、ツアー初優勝を飾っています。カチャノフ選手、ルブレフ選手、メドベデフ選手のネクストジェン・ロシア3人衆には今後も注目です。
https://ardthect.blogspot.jp/2017/06/toss-up.html

バスタードでは、対照的に35歳のフェレール選手が2年ぶりのツアー優勝を果たしています。フェレール選手のツアー通算優勝回数は27回になります。この数字のすごさについては、後ほど簡単に触れます。35歳になってもテニスへの情熱が衰えないフェレール選手には、ただただ頭が下がるばかりです。

フェレール選手のように模範的な選手もいれば、そうではない選手もいます。24歳にして「テニスに飽きた」と発言し、「でも金稼ぎのためにあと10年くらいイイ感じでやる」と発言した人がいます。

今日はその選手に関するニュースを取り上げます。
そうです。ラケットを逆に持ち、サービスリターンしようとしているこの人です。

バーナード・トミック、マドリード・オープン (画像:Mashable, Inc.)

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1.今日のキーワード
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【come under fire    非難の的になる】

今日のキーワードは「come under fire」です。
「under」は状態を表す前置詞で、「...の最中で」という意味で使われています。
「under construction」(建設中)や「under development」(開発中)のような形で使われます。

名詞「fire」はここでは、「砲火」、「射撃」の意味で使われています。
ですので「under fire」は、戦場で「砲火の真っ只中」にいる状態を表しています。
それが転じて、一般社会では「非難/批判の真っ只中」にいることを意味します。

動詞「come」は補語を取っているので、「...の状態になる」という意味です。
したがって「come under fire」で「非難/批判の真っ只中の状態になる」
つまり「非難の的になる」、「批判の的になる」という意味になります。


トミック選手はウィンブルドン初戦敗退後の会見で、全力でプレーしていないことを認めました。
そのためトミック選手は「come under fire」になっています。

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2.ボキャブラリー
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・Bernard Tomic : バーナード・トミック。オーストラリア国籍。24歳。右利き、両手バックハンド。ツアー優勝3回。現在73位 (最高17位)。
・Seven : The Seven Network。オーストラリア5大テレビ局の一つ「チャンネル7」を運営。
・Sunday Night : チャンネル7の人気情報番組。毎週日曜日夜8時半から放送されている。
・lacklustre : 輝きのない、活気のない
・Davis Cup : 男子テニスの国別対抗戦。3日間に分けて、シングルス4試合、ダブルス1試合を5セットマッチで行い、先に3勝した国が勝利。
・captain : 監督。フェドカップおよびデビスカップでは監督のことを「captain」(キャプテン)と呼ぶ。
・US Open : 全米オープン。テニス4大大会であるグランドスラムの一つ。ハードコート。開催地はアメリカ・ニューヨーク。
・Pat Rafter : パトリック・ラフター。現役時代、グランドスラム優勝2回、ツアー優勝11回の成績を残す。最高ランキング1位。2011年から2015年までオーストラリア代表監督を務める。
・put on a show : ショーを催す、演じる。

上記フレーズに関する知識があると、原文をより深く理解できます。

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3.原文
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【'I haven't really tried': Bernard Tomic amazed he's done well at tennis】

Bernard Tomic remains amazed that he has done so well at tennis given that he hadn’t “really tried” and says he was offered millions of dollars to play tennis for other countries.

In a wide-ranging interview with the Seven’s Sunday Night program, the troubled star was unapologetic for the way he played tennis and lived his life.

“There’s been big offers to play for different countries. Millions that ... people could only imagine,” said Tomic, who was born in Germany to a Croatian father and a Bosnian mother.

“And, you know, I never did that. I stayed loyal to Australia ... at the time I thought about it. The money was insane.”

Tomic, who has slid down the rankings from a high of No 17 to No 69 after a year of lacklustre displays, came under fire most recently at Wimbledon where he lost a first round match in straight sets and admitted to putting in little effort.

Afterwards he described himself as being bored on court and added that critics could only dream of what he had earned by the age of 24.

“Throughout my career, I’ve given 100%,” he told the Seven Network. “I’ve given also 30%. But if you balance it out, I think all my career’s been around 50% and I haven’t really tried, and really achieved all this. So just amazing what I’ve done.”

Tomic also felt he was “trapped” by the sport because he’d earned a good living from it.

“It’s affected me a little bit mentally and emotionally,” he said.

“So now it’s just about finding my balance and pushing on the next 10 years and being successful even more.”

Tomic defended his father and sometime coach John, saying the worst he’d done was throw balls at him.

But there were no good words about former Davis Cup captain and two-time US Open winner Pat Rafter.

“Pat’s said a lot of bad things about me, throughout my career, and, you know, he’s always perceived as this nice guy, and this image,” said Tomic.

“People don’t know him in the back of closed doors. He’s not that much of a nice guy ... he likes to put on a show.”

He conceded the Davis Cup side was better off without him – at least until he worked out what he really wanted.



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4.日本語訳
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【バーナード・トミック、実績を自画自賛「本気を出したことがない」】

バーナード・トミックは、テニスに全力で取り組んでいないという。それでも、自分が実績を残していることに驚いているそうだ。また、オーストラリア以外の国からデビスカップ代表に誘われ、百万ドル単位のオファーを受けたことも明らかにした。

トミックは、チャンネル7の「サンデー・ナイト」の中で多岐にわたるインタビューを受けた。渦中のトミックは悪びれることなく、テニスへの姿勢や生き方を語った。

「オーストラリア以外の国からデビスカップ代表に誘われ、高額のオファーを受けたことがある。数百万ドルのオファーだった。一般人には想像できないだろう」とトミックは語った。彼は、クロアチア人の父親とボスニア人の母親の下に、ドイツで生まれた。

「ご存知の通り、そのオファーを受けなかった。オーストラリアに忠誠を誓った。その当時はそう考えていた。金額は法外だった」

トミックはこの1年精彩を欠き、ランキングをキャリアハイの17位から69位に落としている。今年のウィンブルドン1回戦ではストレートで敗れた。試合後、全力でプレーしなかったことを認めたため、非難の的になった

さらに彼はテニスに飽きたと発言した。また彼が24歳までに稼いだお金を、テニス評論家たちは一生手にすることができないと付け加えた。

「テニスキャリアを振り返ると、100%でプレーしていたときもあった。また30%のときもあった。平均すると、キャリア全体では50%前後でプレーしている。全力を尽くしてきたわけではないが、これだけの実績を残している。自分がやり遂げたことに驚いている」と彼はチャンネル7に語った。

トミックはテニスで良い生活を手に入れた。そのためテニスから離れることができないとも感じているそうだ。

「その事実が僕の心理に少しだけ影響を与えている」と彼は語った。

「いいバランスを見つけ、あと10年テニスを続け、もっと実績を残したい」

トミックは父親であり、コーチでもあったジョンのことをかばった。トミックにテニスボールを投げつけた以外、特に悪いことをしていないと言った。(註)

しかし、前デビスカップ監督であり、全米オープンで2回優勝したこともあるパトリック・ラフターに対しては、良い言葉が出て来なかった。

「テニスキャリアを通して、パットは僕にひどいことばかり言ってきた。彼はいい奴とかそんなイメージで見られている。一般人は彼の裏の顔を知らない。彼はそれほどいい奴じゃない。いい奴を演じるのが好きなんだ」とトミックは語った。

自分がいない方が、デビスカップ・オーストラリア代表の調子が良いことをトミックは認めた。少なくともトミック自身が本当に求めているものに気付くまで、それを認めていた。


(註)  2013年5月マドリード・オープン期間中、練習パートナーを務めたトーマス・ドルーエ氏に対してジョン・トミックは暴力を振るい、スペイン裁判所から有罪を宣告されている。また息子バーナードに対しても、流血するほどの暴力を日常的に振るっていたと言われている。


(Translated by tennisshiro)

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5.関連動画
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'Tanking' Tomic bombs out of the Madrid Open in a farcical fashion



(動画:7 News Adelaide)

2016年マドリード・オープン1回戦、トミックvsフォニーニ。
第1セット2-6、第2セット2-5、ポイント0-40でフォニーニがリード。
フォニーニがマッチポイントを迎えています。
そのときにトミックが取った行動がコレです。
さらに「23歳で1,000万ドル稼ぐ男が、あんな1ポイント気にするか?」と吐き捨てています。
この人は一生治らないでしょう。

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6.その他のニュース
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7.編集後記
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今日はテニスには飽きたけど、お金のためにあと10年テニスを続けたいというトミック選手に関する記事でした。

トミック選手が将来有望な選手だったことは間違いありません。全豪オープン・ジュニアで15歳のときに優勝し、全米オープン・ジュニアでも16歳のときに優勝しています。

ですがプロでのプレーを見る限り、トミック選手はトップにはなれません。もう有望な若手の一人でもありません。単なる中堅選手の一人です。トミック選手が本気を出していないことが原因ではなく、それがトミック選手の実力です。

トミック選手レベルのプレーヤーは何人でもいます。テニスに飽きたなら遠慮なく辞めてください。誰もトミック選手のことを引き留めないし、惜しむ人もいません。

それと対照的な活躍を見せたのが、フェレール選手です。先週の大会で2年ぶりに優勝し、ツアー通算27勝目を上げました。プロになって18年目、35歳、1,000試合戦っても、テニスに本気で取り組む姿勢が一切変わりません。

このツアー通算27勝という記録がすごいです。現役選手ではビッグ4に次いで5番目の優勝回数になります。また現役選手で20勝以上しているのは、ビッグ4以外ではフェレール選手のみです。
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【主な現役選手の優勝回数】
フェデラー95勝、ナダル73勝、ジョコビッチ68勝、マレー45勝

フェレール27勝

デルポトロ19勝、チリッチ17勝、ワウリンカ16勝、ハース15勝、ツォンガ15勝
ガスケ14勝、アルマグロ13勝、ベルディヒ13勝、ロブレド12勝、シモン12勝、イズナー11勝、錦織11勝、ユーズニー10勝
ラオニッチ8勝、ティエム8勝、モンフィス6勝

トミック3勝
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またフェレール選手は今年35歳以上でツアー優勝を果たした4人目の選手になります。(ほかフェデラー選手、ブルゴス選手、F.ロペス選手) 35歳を過ぎてもテニスへの情熱を失わないだけでなく、トップレベルを維持している選手が4人もいるわけです。ロレンツィ選手は惜しくも先週のウマグ決勝で敗れ、今年35歳以上優勝5人目を逃してしまいました。

その他にも、テニス選手にとって大事な両手首に4回メスを入れ、それでも復帰を果たし、テニスを続けるデルポトロ選手のような人もいます。また39歳で体が言うことを聞かない状態であるにもかかわらず、ラストシーズンを全うしようとするハース選手のような人もいます。

そもそもATPツアーは本気でテニスを戦っている選手たちが集まる場所です。ツアーに参加する選手全員に対してトミック選手の言動は失礼です。

ツアーの「ルール」を守れない者は退場あるのみ、そう思うニュースでした。



(了)


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