今日のキーワード「no way out」(逃げ道がない) - 「ジョコビッチ、解決策を模索」 | テニス | ウィンブルドン

こんにちは。

ウィンブルドン9日目、男子シングルスの準々決勝4試合が行われました。

ビッグサーバーが有利なサーフェスで、4回戦のミュラー選手に続き、クエリー選手が波乱を起こしました。地元マレー選手相手にフルセットで逆転勝利を収めています。

クエリー選手は、昨年も3回戦でジョコビッチ選手に勝ってベスト8に進出しており、ウィンブルドンを得意にしています。マレー選手のケガの影響もありましたが、クエリー選手のベスト4進出を称えましょう。


またジョコビッチ選手が右ひじのケガのために、ベルディヒ選手との試合中に途中棄権しました。ベルディヒ選手は対ジョコビッチ戦12連敗を止め、2010年準優勝したとき以来の準決勝進出を果たしました。

その他の試合では、フェデラー選手、チリッチ選手が順当に勝ち、ベスト4が出揃いました。ビッグサーバーのラオニッチ選手を圧倒し、昨年の雪辱を果たしたフェデラー選手のプレーレベルは群を抜いています。たぶん誰も止められないと予想しています。

さて、今日は途中棄権したジョコビッチ選手の記事を取り上げます。
ケガの状況があまり思わしくないようです。

ノバク・ジョコビッチ、ウィンブルドン (画像:The Mirror)

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1.今日のキーワード
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【no way out    逃げ道がない】

今日のキーワードは「no way out」です。
「way out」は直訳すると「外に向かう道」で、「出口」、「逃げ道」などを表します。
形容詞「no」(まったく...がない)で修飾されているので、
「no way out」は「出口がない」、「逃げ道がない」という意味になります。

団体スポーツでは、負傷選手の代わりに交代選手を投入して、試合を続行できます。
個人スポーツではそれができないことを、ジョコビッチ選手は「no way out」と言っています。

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2.ボキャブラリー
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・Novak Djokovic : ノバク・ジョコビッチ。セルビア国籍。30歳。右利き、両手バックハンド。グランドスラム優勝12回、マスターズ優勝30回、ツアー優勝68回。現在4位 (最高1位)。
・creep up on : 忍び寄る、こっそりと近付く。
・Wimbledon : ウィンブルドン。テニス4大大会であるグランドスラムの一つ。グラスコート。開催地はイギリス・マートン・ロンドン特別区ウィンブルドン。
・lofty : 非常に高い、高尚な。
・prowess : 腕前、技量。
・ATP : Association of Tennis Professionals。男子プロテニスツアーを運営する団体。
・Aegon International : エイゴン国際。ATP250シリーズの大会。グラスコート。開催地はイギリス・イーストボーン。。
・fortnight : 2週間。しばしば2週間にわたるグランドスラム大会期間を指す。
・Tomas Berdych : トマーシュ・ベルディヒ。チェコ国籍。31歳。右利き、両手バックハンド。マスターズ優勝1回、ツアー優勝13回。現在15位 (最高4位)。
・ponder : 熟考する、思案する。
・physiotherapist : メディカルトレーナー、理学療法士。

上記フレーズに関する知識があると、原文をより深く理解できます。

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3.原文
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【Djokovic Looks For Answers】

An old elbow injury unfortunately crept up on Novak Djokovic at Wimbledon, just as he was regaining top form.

After a disappointing season by his lofty standards, the Serbian had been showing the grass-court prowess that brought him three Wimbledon titles. He won his first ATP World Tour title in nearly six months at the Aegon International (d. Monfils), then cruised into the quarter-finals this fortnight without losing a set.

But on Wednesday, his right elbow became too much to handle against Tomas Berdych. The second seed halted the contest after just 63 minutes, leaving him to ponder what comes next.

”It’s really hard to swallow when you have to retire, especially when you're playing well. I was playing the best tennis I've played in the last 10 months or so. I felt really good on the court,” said Djokovic. “It's just unfortunate. But in life, these particular things happen for a reason. It takes some time and thinking to understand why this happened, and to learn from it.”

Djokovic admitted that his elbow troubles started at the beginning of the tournament. Despite his best efforts at recovery, he still played through uncomfortable moments in his first four rounds before the pain became too much to handle.

“The intensity and the level of pain was only increasing as the days went by,” admitted Djokovic. “I kept doing everything with my physiotherapist and the ATP [World Tour] physiotherapist to try and recover and get into the state where I'm actually able to perform. I was able to perform up to this stage, but it was only getting worse.

“Unfortunately, today was the worst day,” he admitted. “I was able to play for 30 minutes with some pain that was bearable. All the treatments couldn't really help. The serve and forehand were the shots where I could feel it the most. After that, there was really no sense [in playing]."

With his elbow troubles bothering him for about 18 months, and a wide range of specialists consulted on the injury, Djokovic said he’ll likely rest for now as he puts together a recovery plan. With his current treatment program appearing to no longer be effective, the Serbian said he would consider more aggressive options.

“Obviously it’s adding up more and more. The more I play, the worse it gets. In an individual sport, there is no way out. If you don't feel fit, that's it. There is no one to come out instead of you,” said Djokovic. “I'm just going to talk with specialists, as I have done in the past year or so, and try to figure out a long-term solution for the best way to treat it."



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4.日本語訳
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【ジョコビッチ、解決策を模索】

ノバク・ジョコビッチは、ウィンブルドンで調子を取り戻し始めていた。しかし不運なことに、ひじのケガが徐々に悪化していた。

ジョコビッチの高い基準からすると残念な時期を過ごした。その後、過去3回優勝したウィンブルドンと同じグラスコートで実力を発揮していた。エイゴン国際では、約半年ぶりにツアー優勝した。今大会では、1セットも落とさず、4回戦まで快勝していた。

しかし、準々決勝のトマーシュ・ベルディヒ戦で、右ひじのケガが悪化した。試合開始から63分で棄権した。ジョコビッチは今後のスケジュールを見直す必要があるだろう。

「棄権に納得するのは難しい。良いプレーをしていたら尚更だ。最近10か月で、最も良いプレーをしていた。コート上の感覚が本当に良かった。ついてないが、人生ではこのようなこともある。原因を把握し、教訓を得るために、時間をかけて考える必要がある」と彼は語った。

今大会開幕時からひじに問題があったことを認めた。回復には最善を尽くした。4回戦までは痛みを我慢してプレーした。だが、準々決勝で痛みが悪化し、プレーを続けるのが困難になった。

「日が経つごとに、痛みは悪化した。プレー可能な状態まで回復させるために、メディカルトレーナーと一緒に手を尽くした。準々決勝まで戦えたが、状態は悪化する一方だった」

「不運にも今日の痛みが最悪だった。30分間は痛みを我慢してプレーした。すべての治療が有効だったわけではない。サーブとフォアハンドを打つとき、一番の痛みを感じた。試合開始30分後からは、腕の感覚がなかった」と彼は認めた。

1年半にわたり、ひじのケガに苦しんでいる。また多方面の専門家の診察を受けている。彼らの意見を考慮して、休養を取る可能性もあるとジョコビッチは語った。現在の治療プログラムは効果を上げていない。もう少し踏み込んだ治療をすることも考えているそうだ。

「ケガが悪化しているのは明らかだ。プレーすればするほど、状態が悪くなっている。個人スポーツでは、逃げ道がない。調子が悪ければ、それまでだ。自分の代わりに出場してくれる人はいない。過去にもそうしてきたが、専門家に相談する。長期的に見て最も良い治療方法を探し出すつもりだ」とジョコビッチは語った。


(Translated by tennisshiro)

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5.関連動画
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Novak Djokovic v Tomas Berdych highlights - Wimbledon 2017 quarter-final



(動画:Wimbledon.com)

ウィンブルドン準々決勝、ジョコビッチvsベルディヒのハイライト。
試合序盤は、2人の持ち味が存分に出た好ゲームを展開しています。
ベルディヒ選手の角度のあるビッグサーブや強力なフラットストローク。
それをクリアに振り抜いて、打ち返すジョコビッチ選手。
しかし、1セット終盤にかけてジョコビッチ選手が失速します。
サーブやフォアストロークの速度が、明らかに落ちます。
最後力のないフォアがサイドアウトした時点で、ジョコビッチ選手が棄権しました。

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6.その他のニュース
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7.編集後記
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ウィンブルドン準々決勝、ジョコビッチ選手が負傷により途中棄権した記事を取り上げました。


ATPツアーをよく見ている人はご存知だと思いますが、ジョコビッチ選手は棄権が非常に少ない選手です。

この試合まで、この5年間でたった1試合しか棄権していません。またグランドスラムに限定すると、この10年間で棄権したのは1試合だけです。実に8年前の2009年全豪オープン準々決勝(対ロディック戦)まで遡る必要があります。

ジョコビッチ選手は毎年80試合前後、グランドスラムだけでも20試合以上(2009年の19試合は除く)戦っていることを考えると、いかにジョコビッチ選手の棄権頻度が低いかがわかると思います。

そういう選手の棄権なので、ケガの程度が重いことが想像できますし、単なる1選手の1試合の棄権で片づけてはいけないと思っています。


ATPツアーでは、前年度30位以内の選手(「Commitment Player」)に対して、指定大会に出場する義務を課しています。トップ30の選手は、グランドスラム4大会、マスターズ8大会、ATP500の任意4大会、合計16大会に出場する義務があります。

つまり3週間に1回、トップ30以上の選手が集まるハイレベルな大会に参加する必要があるわけです。肉体的にも、精神的にもかなり過酷な「労働」です。


ジョコビッチ選手は2006年の年末ランキングで16位を記録し、2007年初めて「Commitment Player」になりました。それ以降10年以上にわたり出場義務を果たしています。(出場義務免除3条件、「Commitment Player」の特権については割愛)

1年義務を果たすだけでも大変な「労働」なのに、それを10年以上続けているわけです。当然、体には疲労が蓄積されるでしょうし、少々のケガなら我慢して出場しているので、満身創痍の状態になってもおかしくありません。


昨年後半、やはり「Commitment Player」を10年以上務めているフェデラー選手とナダル選手が長期休養を取りました。ATPツアーの過酷なスケジュールをクリアしながら、ケガを治すのは無理という判断をトッププレイヤー2人が下したわけです。

今回のジョコビッチ選手の棄権も一つのシグナルだと思っています。ジョコビッチ選手自身もツアー離脱の選択肢を否定していません。


もしATPがこの状況に対して何も感じていないとしたら、無神経極まりないです。ATPはNextGenキャンペーンに力を入れ、次世代の若手スターを育てることに力を注いでいます。この施策自体は、ATPツアーを継続的に成功させるために必要な「企業努力」ですし、若手の底上げなしには「組織」の成長もないので、非常に良いことだと思います。

ですが、それと同時に現在最前線でツアーを支えているトップ選手たちへの配慮をして欲しいとも感じています。トップ選手の参加人数が少ないと、観客動員数・テレビ放映権料・スポンサー収入等に影響が出るのはわかります。

だからと言って、トップ選手に大会への参加を「強要」して「酷使」するのは正しい状況には見えません。さらに、ケガをしたら「使い捨て」して、新しい若手と「交換」すればよいと考えているとしたら、「ブラック企業」と何ら変わるところはありません。


もう少し出場義務を緩和し、選手への負荷が少ないスケジュールに改善できないものでしょうか?(例えば、グランドスラム4大会、マスターズ6大会、ATP500の任意2大会、合計12大会に減らす)

(たとえ一時的であるにしても)トップで活躍してきた選手が「金属疲労」により第一線から退くのは、見ていて忍びないものです。

昨年後半25連勝で世界ランク1位を勝ち取ったマレー選手も、今年はケガに苦しみ、本来の調子を発揮できていません。

そろそろATPは自らが抱える「構造的な欠陥」に気付いてもよいのではないでしょうか?
「ヒューマンエラー」ではないことは明らかです。



(了)


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