今日のキーワード「match-fixing」(八百長) - 「TIU 2017年2Qレポート」 | テニス | その他
こんにちは。
テニス英語ニュース「Around the Court」です。
昨日、テニス不正監視団体であるTIU(Tennis Integrity Unit)が、四半期ごとの定例報告を出しました。
TIUは主にプロテニスにおける八百長行為を監視しています。組織の透明性を確保するために、2016年から四半期報告で「警告」(「Match Alert」)の件数を公表しています。
「警告」は八百長を意味するわけではありません。ブックメーカーのオッズが通常とは異なる動きを見せたときに発生する、単なるシグナルです。そのシグナルに基づき、TIUは試合の公正性を精査し、必要な場合には不正行為を摘発し、同時に不正行為の抑止に努めています。
その辺の事情を知ってか知らずか、「警告」だけで八百長をにおわせる扇動的な報道も見受けられます。
「警告」について理解を深めてもらうために、TIUの報告書を今日は取り上げます。
テニス英語ニュース「Around the Court」です。
昨日、テニス不正監視団体であるTIU(Tennis Integrity Unit)が、四半期ごとの定例報告を出しました。
TIUは主にプロテニスにおける八百長行為を監視しています。組織の透明性を確保するために、2016年から四半期報告で「警告」(「Match Alert」)の件数を公表しています。
「警告」は八百長を意味するわけではありません。ブックメーカーのオッズが通常とは異なる動きを見せたときに発生する、単なるシグナルです。そのシグナルに基づき、TIUは試合の公正性を精査し、必要な場合には不正行為を摘発し、同時に不正行為の抑止に努めています。
その辺の事情を知ってか知らずか、「警告」だけで八百長をにおわせる扇動的な報道も見受けられます。
「警告」について理解を深めてもらうために、TIUの報告書を今日は取り上げます。
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1.今日のキーワード
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【match-fixing 八百長】
今日のキーワードは「match-fixing」です。
名詞「fixing」は、動詞「fix」(固定する)の現在分詞形で「固定」という意味です。
「match-fixing」は、「試合結果/勝敗の固定」つまり「八百長」という意味になります。
「fixing」だけでも「八百長」、「不正工作」の意味があります。
また「fixing」を使った表現として「price-fixing」(価格操作)、「rate-fixing」(レート操作)などがあります。
名詞「fixing」は、動詞「fix」(固定する)の現在分詞形で「固定」という意味です。
「match-fixing」は、「試合結果/勝敗の固定」つまり「八百長」という意味になります。
「fixing」だけでも「八百長」、「不正工作」の意味があります。
また「fixing」を使った表現として「price-fixing」(価格操作)、「rate-fixing」(レート操作)などがあります。
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2.ボキャブラリー
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・TIU : Tennis Integrity Unit。プロテニスにおける不正行為を監視する団体。ITF、ATP、WTAと四大大会主催団体の7団体が2008年に創設。主に八百長行為を監視する。ドーピングに関しては管轄外(「WADA」が管轄)。
・memorandum of understanding : 契約、覚書。しばしば「MOU」と省略される
・ATP Challenger : ATPチャレンジャー。ATPツアーの下部大会。ATP250グレードの下位に位置付けられる。
賞金規模5万ドルから15万ドルの大会まであり、賞金規模に応じて優勝者は80ポイントから125ポイントのランキングポイントが獲得できる。
賞金規模5万ドルから15万ドルの大会まであり、賞金規模に応じて優勝者は80ポイントから125ポイントのランキングポイントが獲得できる。
・ITF Futures circuit : ITFフューチャーズ。「ITF Men's Circuit」とも呼ばれる。ATPチャレンジャーの下位に位置づけられる。
賞金規模1万5千ドルから2万5千ドルの大会まであり、賞金規模に応じて優勝者は18ポイントから35ポイントのランキングポイントが獲得できる。
(WTAツアー下部大会は「ITF Women's Circuit」と呼ばれる)
賞金規模1万5千ドルから2万5千ドルの大会まであり、賞金規模に応じて優勝者は18ポイントから35ポイントのランキングポイントが獲得できる。
(WTAツアー下部大会は「ITF Women's Circuit」と呼ばれる)
・Roland Garros : ローラン・ギャロス。全仏オープンの会場。しばしば全仏オープンそのものを指す。
・Wimbledon : ウィンブルドン。テニス4大大会であるグランドスラムの一つ。グラスコート。開催地はイギリス・マートン・ロンドン特別区ウィンブルドン。
上記フレーズに関する知識があると、原文をより深く理解できます。
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3.原文
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【Match Alert data April to June 2017: fewer alerts for period and year-to-date】
During the second quarter of 2017, 53 match alerts were received by the TIU through Memorandums of Understanding held with betting regulators and gambling organisations. By comparison, 73 alerts were reported during the same period in 2016.
Consistent with previous reports, the majority of alerts (40 out of 53) were received for matches played on the lower level men’s ATP Challenger and ITF Futures circuits. Roland Garros (1) and Wimbledon (3: 2 in the qualifying event and 1 in the main draw) accounted for the four Grand Slam alerts. These will be assessed and reviewed in keeping with the TIU match alert policy below.
•During the April to June period, 31,281 professional matches were played, with the 53 alerts featuring on just 0.169% of those matches.
•The cumulative six month match alert figure for 2017 is now 83, substantially fewer than the 121 received for the same period in 2016.
TIU match alert policy
•every alert is assessed and followed up as an indicator that something inappropriate may have happened. It is important to appreciate that an alert on its own is not evidence of match-fixing;
•there are many reasons other than corrupt activity that can explain unusual betting patterns, such as incorrect odds-setting; well-informed betting; player fitness, fatigue and form; playing conditions and personal circumstances;
•where analysis of a match alert does suggest corrupt activity, the TIU will conduct a full, confidential investigation
(引用元 Tennis Integrity Unit:http://www.tennisintegrityunit.com/media-releases/tennis-integrity-unit-briefing-note-july-2017)
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4.日本語訳
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【2017年第2四半期における警告データ:前年同期より減少】
テニス不正監視団体TIU (Tennis Integrity Unit) は、2017年第2四半期、53件の警告を受理した。TIUは、スポーツ賭博運営者および運営組織との契約に基づき、警告データの提供を受けている。前年同期は73件の警告を受理している。
これまでと同様、警告の大多数(53件中40件)は、ATPチャレンジャーやITFフューチャーズの下部大会で発生している。グランドスラムでは、全仏オープンで1件、ウィンブルドンで3件(予選2件、本戦1件)の警告が発生している。以下に示す「TIUマッチ・アラート・ポリシー」に従い、これらの警告を評価し再調査する。
(註: 女子ツアー下部大会も含めると「53件中45件」)
・4月から6月にかけて、31,281試合を実施した。全体の0.169%に当たる53試合で警告が発生した。
・2017年6か月間の合計は、現在のところ83件である。前年の同期間における合計121件よりもかなり少ない。
「TIUマッチ・アラート・ポリシー」
・すべての警告は、不適切な事態が発生した可能性を示唆している。TIUはすべての警告を評価し再調査する。ただし、警告それ自体は八百長の証拠ではないことを認識しなければならない。
・異常な賭け率は、不正行為ではない理由により、多々発生する。例えば、誤ったオッズ設定、事情に詳しい者による賭け、選手の健康状態・疲労・調子、試合環境・選手の私生活などの要因によって発生することもある。
・警告を分析し、不正行為が明らかになった場合、TIUは機密調査を徹底的に実施する。
これまでと同様、警告の大多数(53件中40件)は、ATPチャレンジャーやITFフューチャーズの下部大会で発生している。グランドスラムでは、全仏オープンで1件、ウィンブルドンで3件(予選2件、本戦1件)の警告が発生している。以下に示す「TIUマッチ・アラート・ポリシー」に従い、これらの警告を評価し再調査する。
(註: 女子ツアー下部大会も含めると「53件中45件」)
・4月から6月にかけて、31,281試合を実施した。全体の0.169%に当たる53試合で警告が発生した。
・2017年6か月間の合計は、現在のところ83件である。前年の同期間における合計121件よりもかなり少ない。
「TIUマッチ・アラート・ポリシー」
・すべての警告は、不適切な事態が発生した可能性を示唆している。TIUはすべての警告を評価し再調査する。ただし、警告それ自体は八百長の証拠ではないことを認識しなければならない。
・異常な賭け率は、不正行為ではない理由により、多々発生する。例えば、誤ったオッズ設定、事情に詳しい者による賭け、選手の健康状態・疲労・調子、試合環境・選手の私生活などの要因によって発生することもある。
・警告を分析し、不正行為が明らかになった場合、TIUは機密調査を徹底的に実施する。
(Translated by tennisshiro)
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5.関連動画
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八百長と特定の人物・団体が不適切に関連付けられるのを避けるために、動画の掲載は差し控えます。
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6.その他のニュース
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【TIU strengthens Education and Intelligence teams with Perry and Patel appointments】
【Anti-Corruption Hearing Officer panel expanded】
【Independent Review Panel】
【Anti-Corruption Hearing Officer panel expanded】
【Independent Review Panel】
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7.編集後記
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今日はTIUの「警告」に関する報告を取り上げました。
「警告」のシグナルが出た試合は600試合に1試合です。しかも「警告」が出た試合の85%が下部大会のものです。
2008年のTIU設立から不正行為でのべ32人が処罰されています (残念ながら日本人が1人含まれています)。彼らの大半が、キャリアハイでも300位前後、通常はランキング1,000位前後の人たちです。ツアー大会の予選に参加できないランキングの人たちです。
今年の全豪オープンでも「警告」が3件発生しています。「警告」が出ると、調査対象の選手はスマホやPCなどの持ち物はすべて没収され、通話記録、銀行口座の取引履歴なども徹底的に調べ上げられます。その調査の結果、3件とも不正行為なしとTIUから公表されています。
「警告」が出たからと言って八百長が起きているわけではないし、ましてや我々が普段目にするトップ100~200の選手が参加するツアーレベルの試合で、八百長が起きているとはあまり考えられません。
グランドスラムになると、賞金額が破格です。ウィンブルドンの場合、1回戦敗退でも約500万円、2回戦で約830万円、3回戦で約1,300万円、4回戦で約2,100万円の賞金が出ます。またグランドスラムを勝ち上がれば選手としての価値が上がり、スポンサー収入が千万円単位で変わってきます。
八百長を持ち掛けられるのは、勝つ可能性が高いと思われる選手です。勝てば千万円単位の報酬を得る可能性がある選手です。
わざと負ければ、夢は実現できないし、名誉は手に出来ないし、テニス界から永久追放されるリスクもあります。それを考えると、1億円積まれても八百長に乗る人がいるとは考えづらいです。
ウィンブルドンで「警告」が3件出ていますが、たぶん何もないでしょう。不正行為以外のその他の理由だと思われます。
1テニスファンとしては、そうであって欲しいと願っています。
「警告」のシグナルが出た試合は600試合に1試合です。しかも「警告」が出た試合の85%が下部大会のものです。
2008年のTIU設立から不正行為でのべ32人が処罰されています (残念ながら日本人が1人含まれています)。彼らの大半が、キャリアハイでも300位前後、通常はランキング1,000位前後の人たちです。ツアー大会の予選に参加できないランキングの人たちです。
今年の全豪オープンでも「警告」が3件発生しています。「警告」が出ると、調査対象の選手はスマホやPCなどの持ち物はすべて没収され、通話記録、銀行口座の取引履歴なども徹底的に調べ上げられます。その調査の結果、3件とも不正行為なしとTIUから公表されています。
「警告」が出たからと言って八百長が起きているわけではないし、ましてや我々が普段目にするトップ100~200の選手が参加するツアーレベルの試合で、八百長が起きているとはあまり考えられません。
グランドスラムになると、賞金額が破格です。ウィンブルドンの場合、1回戦敗退でも約500万円、2回戦で約830万円、3回戦で約1,300万円、4回戦で約2,100万円の賞金が出ます。またグランドスラムを勝ち上がれば選手としての価値が上がり、スポンサー収入が千万円単位で変わってきます。
八百長を持ち掛けられるのは、勝つ可能性が高いと思われる選手です。勝てば千万円単位の報酬を得る可能性がある選手です。
わざと負ければ、夢は実現できないし、名誉は手に出来ないし、テニス界から永久追放されるリスクもあります。それを考えると、1億円積まれても八百長に乗る人がいるとは考えづらいです。
ウィンブルドンで「警告」が3件出ていますが、たぶん何もないでしょう。不正行為以外のその他の理由だと思われます。
1テニスファンとしては、そうであって欲しいと願っています。
(了)
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