今日のキーワード「much-fancied」(大本命の) - 「錦織、驚異的な巻き返しでベスト8進出」 | テニス | 全仏オープン

こんにちは。tennisshiroです。
 
男女ともにベスト16同士の対戦が一巡し、ベスト8が出揃いました。

女子は、シード8までの選手のうち勝ち残ったのは3人、誰が勝ってもグランドスラム初優勝という混戦模様になっています。

逆に男子は、シード8の選手のうち敗退したのはラオニッチ選手のみ、7人の選手がベスト8に勝ち残っています。全仏の赤土では波乱がよく起きると言われていますが、実力通りの勝ち残りになっています。
 
日本の錦織選手も2015年に次いで2回目のベスト8進出を果たしています。ジョコビッチ選手、マレー選手、ナダル選手など、そうそうたる顔ぶれの中に錦織選手が並んでいるのを見ると、錦織選手のすごさを改めて感じます。

その錦織選手がベスト8を決めた壮絶な試合に関する記事を、今日は取り上げます。

錦織圭、全仏オープン(画像:Roland-Garros 2017

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1.今日のキーワード
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【much-fancied    大本命の】

今日のキーワードは「much-fancied」 です。
動詞「fancy」には「...を好む」、「...を愛する」という意味があります。
その過去分詞形「fancied」は「気に入られて」という意味を持つ形容詞になります。
勝負の世界で「気に入られる」ということは、「勝つ見込みがある」つまり「本命」ということです。
副詞「much」で修飾されているので、「much-fancied」は「大本命の」という意味になります。
逆に「less-fancied」という表現もあり、「勝てそうにない」、「見込みのない」ことを表します。
 

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2.ボキャブラリー
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・Kei Nishikori : 錦織圭。日本国籍。27歳。右利き、両手バックハンド。ツアー優勝11回。現在9位 (最高4位)。
・Fernando Verdasco : フェルナンド・ベルダスコ。スペイン国籍。33歳。左利き、両手バックハンド。ツアー優勝7回。現在37位 (最高7位)。
・crowd in : 押し寄せる、押し込む。
・bagel : ベーグル。6-0のスコアでセットが決まること。「0」の形がベーグルに見えることからそう呼ばれる。
・catastrophic : 破滅的な、悲劇的な。
・sighting : 見られること、目撃、観測。
・mortification : 屈辱、悔しさ。
・Andy Murray : アンディ・マレー。イギリス国籍。30歳。右利き、両手バックハンド。グランドスラム優勝3回、マスターズ優勝14回、ツアー優勝45回。現在1位 (最高1位)。
・Suzanne-Lenglen : スザンヌ・ランラン。全仏オープンの会場であるローラン・ギャロスのコート。センターコートであるフィリップ・シャトリエの次に収容人数が多い。
・legend : 説明文、凡例。
・catch sight of : 目にする。
pivotal : 重要な、中枢の。
・Alexander Zverev : アレクサンダー・ズベレフ。ドイツ国籍。20歳。右利き、両手バックハンド。マスターズ優勝1回、ツアー優勝4回。現在10位 (最高10位)。
・in charge : 掌握して、管理して。
・wrong-foot : バランスを崩させるように打つ、不意打ちを食らわせる。
・stanza : セット、節。
・obliteration : 壊滅、抹消。
・momentum : 運動量。
・judder : 激しく震動する。
・impetus : 勢い、はずみ。
・plunder : 奪う、略奪する。
・brace : サービスキープ。支え、支柱。テニスではサービスキープが試合の流れを支える。
・apiece : 各自に、個々に。
・gallop : 全速力で駆ける、全速力で走る。
・outwit : 出し抜く、裏をかく。
・blast : 爆発する、爆破する。
・out of the blocks : スタートから、出発点から。
・stonewall : 進行を妨害する、守りを固める。
・rampage : 暴走する、大暴れする。
・in evidence : はっきり見えて。
・onwards : 以降、以後。
・get to one's feet : 立ち上がる。

上記フレーズに関する知識があると、原文をより深く理解できます。
 

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3.原文
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【Nishikori completes stunning comeback to reach the quarter-finals】 

Kei Nishikori overcame an utterly disastrous start against Fernando Verdasco to equal his career-best Roland-Garros performance by reaching the last eight.

In the first set the unforced errors which plagued him in the previous round looked to be crowding in once more, to put him on the wrong end of a humiliating bagel for the second successive match. But the Japanese turned the ship around, gradually reversing the catastrophic ratio of mistakes to winners with ever more frequent sightings of his signature shotmaking, until finally he fashioned a concluding bagel of his own in perfect reply to that first set mortification.

He won 0-6, 6-4, 6-4, 6-0, and will face the world No.1 Andy Murray for a place in the semi-finals.

Interestingly, Verdasco said afterwards: “When he was serving in the first set, he was unhappy. He seemed tired. I had the feeling he was complaining even at one point about pain. But then, all of a sudden in the second set, he started to play much deeper into the court, making virtually no mistakes.”

Nishikori denied any pain, saying: “Physically I’m okay. a little bit sore. I couldn't do anything in the first set but I tried tried to play a little more heavy and a little more aggressive. But still it was a really, really tough battle. There was so many long rallies. I don't know how I got the second and third sets. The fourth, I played perfect tennis.”

Up in the stand on a windy Suzanne-Lenglen Court, Nishikori’s coach Michael Chang watched his charge while wearing a cap with a written slogan on the peak, visible only when he glanced down. The legend read: “Hungry to win.” Perhaps it was only after the first set that Nishikori caught sight of it. Before that he was not only delivering too many errors, but frequently on the most pivotal points. Verdasco, 33 – who took out the much-fancied Alexander Zverev in the first round here – was comprehensively in charge without ever having to play eyeballs out. It was thoroughly miserable for the No.8 seed.
 
The second set was a tale of strangely fluctuating tides, and perhaps Verdasco – one of eight men over 30 to reach the last 16 this year – was somehow wrong-footed by that opening stanza obliteration of his opponent. In any case, the Spanish left-hander’s momentum came to a juddering halt, as Nishikori produced a fabulous backhand winner on the way to breaking him to love. But Nishikori made it impossible for himself to sustain that impetus when he produced four unforced errors in the next game, and then could not plunder a single point from the world No.37’s serve in the next three attempts. Then suddenly a pair of mistakes from Verdasco let Nishikori in for 4-5, and a brace more took the match to a set apiece.

By this stage Nishikori was finding That Touch a little more. There was a Nishikori special – a leaping volley – to save break point early on, and when Verdasco gave him an opening he galloped round the court to outwit the Spaniard for the break. Verdasco levelled for 3-3, but Nishikori was producing more of those gasp-making shots to leave spectators wondering where he had been hiding such weaponry. Puzzlingly after a particularly fabulous backhand, his body language was the kind associated with exhausted defeat. But he took control of the set, and having broken again for 4-3, ultimately clnched it with a blasting winner.
 
Set four was runaway stuff. He emphasised his hold on the match with a break out of the blocks, stonewalling Verdasco’s attempted fightback early on, and after that he simply rampaged out of sight to complete a stunning turnaround.
 
In the second Roland-Garros quarter-final of his career – his first was two years ago – he will meet Murray, whom he trails 2-8 in their meetings to date. He is unlikely to be permitted the luxury of another first-set slump, and if he is to make a meaningful impression, his trademark wizardry will need to be in evidence from the first rally onwards. But just one match ago, such form looked impossible. Now that has changed.
 
If the real Nishikori – the fabulous shot-making version – has not quite stood up yet, he is at least getting to his feet.


(引用元 Roland-Garros 2017:
 

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4.日本語訳
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【錦織、驚異的な巻き返しでベスト8進出】 

錦織圭はフェルナンド・ベルダスコ戦の苦しい序盤を乗り越え、全仏オープンにおける自己最高成績に並ぶベスト8に進出した。

第1セットでは、3回戦でも苦しんだアンフォースト・エラーを連発。2試合連続で屈辱的なベーグルを喫し、苦しい状況に置かれた。しかし、錦織は試合の流れを変え、彼の特徴であるショットメイクを見せながら、徐々にアンフォースト・エラーとウィナーの本数を逆転させた。最終セットはベーグルで締め、第1セットの屈辱に対して完璧なお返しをした。

錦織は0-6、6-4、6-4、6-0で勝利し、準決勝では世界1位のアンディ・マレーと対戦する。

試合後、ベルダスコが語った言葉が興味深い。「第1セット、錦織はサーブを打っているとき、苦しそうだった。彼は疲れているように見えた。彼は1ポイントごとに痛みに対して不満を言っているようにも見えた。でも第2セットに入ると、彼は突然コートに入り込んでプレイし始め、ほぼミスをしなくなった」

錦織は痛みを一切否定し、次のように語った。「肉体的には大丈夫。少しうずく程度。第1セットは何もできなかった。第2セットから力強く攻撃的にプレーすることを心掛けた。本当に厳しい試合だった。長いラリーが多かった。第2セットと第3セットをどのように取ったかは覚えていない。第4セットは完璧なテニスができた」

強風が吹くスザンヌ・ランランのスタンドから、コーチのマイケル・チャンは、錦織の戦いを見守っていた。彼がかぶっていた帽子にはスローガンが書かれている。だが、彼が下を向いたときしかそのスローガンは見えない。「ハングリー・トゥ・ウィン (勝利に飢えている)」。たぶん錦織がそれを目にしたのは、第1セットが終了した後だろう。それ以前はミスが多かっただけでなく、非常に重要なポイントでミスをしていた。33歳のベルダスコは、今大会の1回戦で大本命のアレクサンダー・ズベレフを破っている。彼は必死にプレーする必要もなく、大方試合を掌握していた。第8シードの錦織にとっては、かなり悲惨な状況だった。

第2セットに入ると、試合の流れが変わり始めた。ベルダスコは、ベスト16に進出した30歳以上の選手8人のうちの1人である。たぶん彼は第1セットの相手の自滅に面食らったのだろう。いずれにしても、ベルダスコの勢いは止まった。錦織が素晴らしいバックハンドウィナーを決め、第1ゲームをラブゲームでブレークした。しかし、第2ゲームで4本のアンフォースト・エラーを犯し、錦織は自分の勢いを持続できなかった。それに続くベルダスコの3本のサービスゲームで、彼は1ポイントも取ることができなかった。しかし、突然ベルダスコが2本のミスを犯し、錦織にブレークを許した。ゲームカウントが4-5になり、さらに錦織がサービスをキープし、お互いに1セットずつを分け合う展開になった。

この段階までに、錦織はショットの感覚を少しずつ取り戻していた。第3セットに入ると、錦織は得意なジャンピング・ボレーを決め、最初のブレークポイントをセーブした。ベルダスコが最初のサービスでポイントを許すと、錦織はコートを全力で走り回り、ブレークに成功した。ベルダスコはゲームカウント3-3に追いついたが、錦織が息を飲むようなショットを打ち始めた。彼が武器を隠していたことに、観衆は驚嘆した。素晴らしいバックハンドを打った後、彼の体は疲労しているようにも見えた。しかし、彼は第3セットの流れをコントロールした。2度目のブレークをしてゲームカウント4-3にした後、最終的には破壊力抜群のウィナーで第3セットをものにした。

第4セットは、錦織の逃げ切りだった。彼は第1ゲームでブレークし、試合を掌握していることを見せつけると、ベルダスコが早めにブレークバックしようとするのも阻止した。その後、一気に差を広げ、驚異的な逆転劇を締めくくった。

2年前、初めて全仏オープン準々決勝に進出している。キャリア2度目の準々決勝では、通算対戦成績2勝8敗のマレーと対戦する。第1セットでスランプになる余裕は、この試合ではないだろう。錦織が勝利するつもりなら、トレードマークである魔法のようなショットを最初のラリーから見せる必要があるだろう。この試合前、復調するのは不可能に見えた。しかし、状況は変わった。

完全ではないとしても、素晴らしいショットメイクをする本来の錦織に戻り始めたことは確かだ。

 
(Translated by tennisshiro)

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5.関連動画
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Kei Nishikori v Fernando Verdasco Highlights - Men's Round 4 2017 | Roland-Garros


 
全仏オープン4回戦、錦織vsベルダスコ戦のハイライト。
第1セットはベーグルでセットを落としますが、第2セットから徐々に調子を取り戻した錦織選手。第3セットからゾーン状態に入り、ベルダスコ選手のスマッシュに対してバックのクロスカウンターを決めたり、フォアの強打をスライスのドロップショットで返したり、スーパーショットを連発しています。
 

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6.その他のニュース
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7.編集後記
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このブログでは初めて錦織選手のニュース記事を取り上げました。

グランドスラムでベスト8進出のタイミングになりましたが、グランドスラムでの活躍を狙っていたわけではありません。これまで取り上げなかったのは、ただ単に錦織選手に関する面白い英語記事があまり無かったからです。

今年の錦織選手は右手首のケガの影響もあり、得意のクレーコートシーズンに入ってからも、目立った活躍ができていませんでした。その辺、海外メディアはシビアで、活躍していない選手の記事は書いてくれません。

マドリード・オープンのベスト8進出や、ジュネーブ・オープンのベスト4進出くらいになるとチョットした記事にはなっていましたが、本当にチョットした記事レベルでブログの題材にするほどではありませんでした。

ですが、グランドスラムでベスト8、しかも昨日のようなスペクタクルな試合をすると、海外メディアも放ってはおきません。とてもよい記事をゲットできました。

それにしても、この記事を読んで錦織選手のショットメーカーとして評価が高いことを実感しました。 「gasp-making」(息を飲むような)、「fabulous」(信じられない)などの形容詞がそこかしこで使われていますし、錦織選手を描写するにあたり「his signature shotmaking」(名刺代わりのショットメイク)、「his trademark wizardry」(トレードマークの魔法)などの表現が使われています。

日本テニス史上最高の選手であることは言うまでもないのですが、海外でもその才能を認められているのはうれしい限りです。

昨日のベスト8進出を決めた試合では、久しぶりに「天才・錦織」を見れましたが、まだまだ絶好調ではないな、とも思っています。そのことについては、この原文記事の執筆者も同じ意見のようです。

全仏オープンでもし決勝まで行けば、あと3試合戦います。しかも、相手はマレー、ワウリンカ(予想)、ナダル(予想)です。非常に難しいのはわかっています。ですが、できればこの3人と対戦して、絶好調に戻るきっかけをつかんで欲しいです。

まずは明日のマレー戦、全力で応援します!
 
 
 

(了)

 
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